ART55-町田で55人のアーティストを紹介するプロジェクト-vol.4

冨田 真歩 個展

「さかい、あいまい」

2023年11月3、4、5日 

3日間の冨田真歩展はクラフト紙に描かれた雑草や風景が一枚の紙の境界線を超え、お互いに増殖し合う様に感じた展示でした。

冨田さんが毎日、少しずつ作品を入れ替えていたのも、そんな印象を強くしていたのかもしれません。

窓から差し込む光がクラフト紙を透過して、昼間見る絵と夜見る絵が変わってしまうのも、何か会場全体が蠢いている、植物が伸びていく様な、時間と空間が自然と動きを持っている様に思える3日間でした。

ざっくりとした筆捌きは爽快感があり、室内に屋外の空気を持ち込んでいました。

冨田真歩展では3日間、ライブペインティング&凧づくりを行い、見に来た方も気軽に筆を取って参加していました。

コラボ企画のシバヒロ開催「アート凧揚げ」では冨田さんが凧の紙に描いた雑草達を凧に仕立て飛ばしました。シバヒロ大盛況でした!!

冨田さんの作品が多くの人の手にとられ、空を飛びました。

参加者は小さなお子さんが多かったのですが、普段は目にしない現代美術の片鱗を体感して頂けたと思います。
絵を描きたいと言い出すお子さんが多かったのは嬉しい誤算でした。流石に冨田さんの作品の上に、というのはワークショップ担当者の気が引けて、裏面OKにしたところ、紙が薄いため裏移りして思わぬコラボが出来上がりました。

冨田 真歩(とみだ まほ)略歴

神奈川県相模原市出身

多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻 2023年卒

植物に気持ち悪さ、恐怖を感じたことをきっかけに、近所の植物や風景をメインに絵画制作をしています。

植物という予測不能な空間を作りだす生命が、なぜ、どうしてここに蔓延っているのか?ということに向き合います。

ART55-町田で55人のアーティストを紹介するプロジェクト-vol.3

海川花菜個展


「トンネルで、砂浜で、遠く向こうに雪を見る。」

2023年10月7、8、9日 

海川さんはマチノワギャラリースペースの雨戸を閉め(ディレクターの山本さんによると開館以来初めて閉めたそうです。)マチノワの什器を組み立てて、ご自身の作品に取り込みました。

展示は海川さんのいくつかの記憶が重ね合わせられ、それに被せる様に今も同じ様に存在しているであろう風景が宙ぶらりんに再現され、多用されている鏡には今、その場にいる自分が映し出されるという複雑な空間がありました。

少しだけ空けた雨戸や、出入り口側からの自然光で、展示空間は時間によって表情を変え、海川さんが意図した光、作り出したプロジェクターの光、恐らく意図していない光が交錯して益々自分の立っている場所が、砂に足をすくわれる様な感覚を覚えました。

(ART55 世羅田)

海川花菜作品全景

コラボ企画

海川さんのZINを販売しました。

コラボ企画①
アートとジャズギター

コラボ企画②

BEACON Machida × Sagamihara
〜デザイナーたちのアタマのなか〜


海川さんの作品に囲まれて、トークセッション

海川花菜略歴

北海道旭川市出身
多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻 2023年卒
私の中では特別な、でも凡庸な、どこにでもありそうな風景を元に、映像を含むインスタレーション作品を主に制作しています。
自分が生活の中で感じた個人的なことが普遍的になって、それがまた誰かの個人的なところに触れるような、そういうものが作れたらいいなと思っています。

ART55 ー町田で55人のアーティストを紹介するプロジェクトー vol.1. 「FOLLOW」

FOLLOW

香川 穂波、新保 花奈、仲井真 直 三人展

 

COMMUNE BASEマチノワは地元で間伐された木材を使いオーダーメイドでつくられた家具や、自然な色合いの板目が特徴的な空間だ。
ホワイトキューブではなく人の思いが込められて作られたあたたかなマチノワの空気と作家の個性が混ざるグループ展FOLLOW。
3人が追い求めるテーマを中心にして、それぞれを簡単に紹介しようと思う。(鯉沼)

香川 穂波

香川穂波作品「蝶は見る」部分

彼女は規則性と身体性に向き合ってきた。

自然現象には規則性がある。
しかしその規則性を追い求め仮説を立て作った作品は、なぜかエラーが生まれる。
彼女の原動力はそのエラーという想定外を試行錯誤する作り手としての体験の楽しさにある。

加えて、触れ動かせるという身体性も彼女にとって重要なファクター。どうなるのか想像をしながら仕掛けを触り作品が変化する。鑑賞者にも予想外の驚きを与えられれば、作り手の楽しさに近いものを感じさせることができるだろう。

マチノワではこれまでの彼女の作品も常設展示していて、以前の作品も今展での新作も触れて初めて完成するものだ。今作は木の棒を足で踏むことで仕掛けを動かせるので、躊躇せず体感してみてほしい。

新保 花奈

新保 花奈「THE FOREST]部分

彼女は『森』と向き合ってきた。
森といっても彼女の心象風景に存在する概念の『森』。
それは彼女の創造の源。暗く尊大で恐怖を感じさせ、憧れつつ畏れ敬うもの。女性的で、確かな生命を持っている。その存在は彼女の中で音を発し、動き、なにやら訴えかける。
そんな『森』が無垢材という舞台の上で、彼女独自の感性により強い色彩を纏って形作られる。

今作は網やワイヤー、糸が用いられ、以前よりも線的な主張が強い。線同士が結び、絡まり、線がくり抜いた形を意識すれば何もないところに存在が生まれる。存在の有無が入れ替わる。この入れ替えの意識を持って、彼女はこれまでのドローイングやスケッチを行ってきた。それが今展では物体性を持って立ち現れている。

仲井真 直

仲井真 直 「違う家、フシフシ。」

彼女は寂しさと向き合ってきた。

彼女にとって、何もない寂しさは心地良いもの。
得体の知れない焦燥感。そばに寄り添う存在。
遠くへと旅立ってもいつでも帰れる居場所。
そんなことを思いながら描かれる情景は、いつも見慣れた場所にも、全く知らない遠い異国のようにも見える。その景色は観る者の過去の記憶と結びついてどこか懐かしささえ感じる。
更に、その中にぽつりとある可愛くも不思議なキャラクターの存在が、寂しさのような漠然とした感覚の呼び水となっている。

マチノワの空間の中に溶け込むカレンダーや立体化したキャラクター達が、現実を飛び越え彼女の感覚世界へと引き込む。
あたたかな木の風合いとセピア調の色彩が強い親和性を持ち、密度と存在感を高めている作品だ。


この場所でしか味わえない作品が3日間という短い展示期間なのは残念に思うが、だからこその濃さと刹那的な特別感がある。

ART55 ー町田で55人のアーティストを紹介するプロジェクトーの初回に相応しい、熱意のある展示だ。

これから新たに続いていくプロジェクトと、若い3人の作家の未来が実りあるよう願っている。(鯉沼)

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